- 遺言書を作成する際の注意点はありますか?
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たとえば、以下のような点に注意が必要です。
- 法律で定められた形式を守る
- 財産と相続人を正確に記載する
- 「遺言執行者」を指定しておく
- 「遺留分」に配慮する
法律で定められた形式を守る
特に自筆証書遺言は、全文自筆、日付、氏名、押印といった法律上の要件を1つでも欠くと、遺言全体が無効になってしまうためです。
財産と相続人を正確に記載する
不動産は登記簿謄本のとおりに、預貯金は口座番号まで具体的に記載し、誰が見ても財産や人物を特定できるようにしましょう。
「遺言執行者」を指定しておく
遺言執行者とは、遺言内容の実現のため、手続を主導する役割・権限を持つ人です。
遺言執行者を指定しておくと、相続手続がスムーズに進みやすくなります。「遺留分」に配慮する
遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された、最低限の取り分のことです。
遺留分を無視した内容になっていると、侵害された金額を巡って、トラブルへ発展しかねません。
- 遺言書があっても、遺産分割協議は必要ですか?
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原則として、遺言書があれば遺産分割協議は不要です。
遺言書は亡くなった方の意思を示す重要な書類であり、法律上もっとも優先されます。
「誰に、どの財産を、どれだけ相続させるか」が具体的に指定されていれば、その内容どおりに手続を進めることになるため、話合いの必要はありません。ただし、例外的に遺産分割協議が必要、あるいは行われるケースもあります。
- 遺言書に記載のない財産が見つかった場合
- 相続人全員が、遺言書とは異なる内容の分割に合意した場合
特に後者のケースでは、遺言書の内容にかかわらず、協議によって自由に遺産の分け方を決めることが可能です。
- 遺言書を見つけた場合、まず何をすればいいですか?
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①自宅などで保管されていた自筆証書遺言の場合
必ず見つけたままの状態で(※)、亡くなった方の最後の住所地を管轄する裁判所に提出し、「検認」という手続を行います。
※遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料(罰金のようなもの)に処される可能性があります。
「検認」とは、遺言書の形状や内容を裁判所が確認し、偽造などを防ぐための手続です。検認を経ていない自筆証書遺言では、不動産の名義変更(相続登記)や預貯金の解約などができません。
②法務局の「遺言保管制度」を利用した自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言であっても、法務局の保管制度を利用している場合、検認は不要です。
遺言書が見つかったことをほかの相続人へ通知したり、相続財産の調査を行ったりしましょう。
③公正証書遺言の場合
公証人によって内容の正しさが証明されているため、公正証書遺言の場合も検認手続は不要です。
ほかの相続人への通知や財産調査などを行いましょう。
- 遺言書の検認前に遺言書を開封したら無効になりますか?
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検認前に封印された遺言書を開封しても、それだけで遺言書が無効になるわけではありません。
遺言の有効性は、あくまでその内容や形式が、法律で定められた要件(全文自筆で書かれているか、署名押印があるかなど)を満たしているかどうかで判断されるからです。
ただし、裁判所の外で勝手に遺言書を開封した人には、法律によって5万円以下の過料(罰金のようなもの)科される可能性があります。
- 日付の違う遺言書が2通あったらどちらを検認すべきですか?
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基本的には、2通とも検認を受けるべきです。
ただし、法律上、日付の新しい遺言書の内容が優先されるため、日付が新しい遺言書のほうが重要といえます。
より正確にいえば、新しいものと古いもので、内容が抵触(矛盾)する部分について、古い遺言の内容が撤回されたものとして扱われます。抵触しない部分については、古い日付の遺言も有効なままです。
内容の解釈に迷われる場合は、一度弁護士へご相談ください。
- 自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか? どちらがよいですか?
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2つの違いは、作成方法や、法的な確実性などにあります。
どちらかといえば、「公正証書遺言」を作成されたほうがよいでしょう。公正証書遺言は、法律事務に詳しい公証人が作成に関与するため、形式不備で無効になる心配がまずありません。
原本が公証役場に保管されることから、紛失や改ざんなどのおそれがない点も大きなメリットです。一方、自筆証書遺言は、法律で定められたいくつかの条件(全文自筆など)を守らなければ、無効になるリスクがあります。
また、亡くなったあとに「検認」という公的な手続が必要になり、相続人に手間をかけることになります。ただし、「遺産額が少額」、「相続人が少ない」など、トラブルに発展する可能性が低い場合は、自筆証書遺言を作成されてもよいでしょう。
- 自分で遺言書を作成しても大丈夫ですか?
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遺産額が少なかったり、親族関係が良好だったりする場合は、ご自身で作成されても基本的に問題ありません。
ただし、以下のようなケースでは、トラブルを未然に防ぐために弁護士への依頼を検討することをおすすめします。
- 相続人同士の仲がよくない、または疎遠である
- 不動産や非上場株式などの財産が多い
- 特定の相続人に多くの財産を渡したい
- 前妻との間に子がいるなど、家族関係が複雑
- 会社や事業を、特定の後継者にスムーズに引き継がせたい
遺言書の作成を検討していらっしゃる方は、ぜひ一度お問合せください。
- なぜ遺言書を作成した方がいいのですか?
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相続トラブルの発生を防ぎやすくなるからです。
遺言書が作成されていないと、相続発生後、「遺産分割協議」という話合いを相続人全員で行うことになります。
この話合いでは「遺産を誰がどれくらい受け取るのか」について決めますが、うまくまとまらずに、トラブルに発展することがあるのです。ほかに、以下のようなメリットもあります。
- ご自身の意思で財産の分け方を決められる
- 相続権のない人にも財産を遺せる
- 相続人が行う手続の負担を軽減できる
特に以下のような方は相続関係が複雑になりやすく、遺言書を作成しておく必要性が高いといえます。
- お子さんがいないご夫婦
- 個人で事業や農業を営んでいる方
- 再婚されている方 など
まずはお気軽にご相談ください。
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